60歳で特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができるようになった友人が
相談に来ました。友人は60歳からの継続雇用が決まっています。
友人の相談内容というのは、まず年金を請求する手続きについて、そして年金と
給料の調整についてでした。
年金の請求手続きについてはしっかり理解してもらえたのですが、年金と給料の
の調整については、理解は出来ても納得できない!という表情です。
「しかし、年金にはもうひとつ調整がかかることがあるのです。それは、雇用保険と
の調整なんですよ」と、説明を始めますと
「え?雇用保険は失業の場合だけでは?」と友人は余計納得できない表情。
つまりこういうことなのです。
雇用保険には、失業した場合以外にももらえる場合があります。
職業に関する教育訓練を受けた場合の「教育訓練基本給付金」
職業の継続に利するための雇用継続給付には
育児休業関連の「育児休業基本給付金」「育児休業者職場復帰給付金」
介護休業関連の「介護休業給付金」
そして、60歳以降で給料が60歳時と比較して75%未満になった時に支給
される「高年齢雇用継続給付基本給付金」「高年齢再就職給付金」
があります。
友人は、60歳以降の継続雇用で、給料がダウンしますのでこの給付金の対象
となります。
給料が60歳時と比較して61%に相当する額未満になると、貰っている給料の
15%が「高年齢雇用継続給付基本給付金」として雇用保険から支給されま
す。75%までは、15%より率は悪くなりますが、支給があります。
しかし、年金を受け取っていると、15%の支給で、標準報酬月額の6%相当
が年金から引かれます。
例でご説明すると、こういうことになります。
真砂子さん
60歳到達時みなし賃金 30万円
年金の1ヶ月あたり基本月額 15万円
対象月の賃金18万円
標準報酬月額も18万円 とします。
まず特別支給の在職老齢年金の調整
(15万円+18万円ー28万円)×1/2=2万5000円
*まず、年金から引かれるのは2万5000円です
次に雇用継続給付基本給付金の計算です
対象月の賃金18万円は60歳到達時賃金30万円の60%ですので
18万円×15%=2万7000円
これが高年齢雇用継続給付の金額です。
そして、この雇用継続給付がもらえるなら、もう少し年金減らしても大丈夫です
よね?というのが雇用保険と年金との調整なのです。
この、雇用継続給付が15%もらえる場合
標準報酬月額18万円の6%がさらに年金から引かれます。
18万円×6%=1万800円
結局2万5000円+1万800円=3万5800円が年金から引かれ
年金額は1ヶ月あたり11万4200円となり
給料18万円+年金11万4200円+雇用継続給付2万7000円
真砂子さんの1ヶ月あたりの収入は計32万1200円
となります。
60歳のときより多いし、いいやん!では済みません。
雇用保険も厚生年金も今まで保険料を払っているからこその給付です。
将来に備えて頑張って払っていた保険料なのにと
友人は、納得がいかない!を通り越して憤懣やるかたない!と怒ってます。
私も同感です。