★保険&年金基礎知識〜カラ期間を活用しよう!〜
先日、今年で60歳になる友人が裁定請求書の記入について相談に
来ました。
友人は厚生年金に1年以上加入していましたので、60歳から年金の
受取が始まることになるのです。
年金が受給できるかどうか不安だったとのことで、社会保険事務所で
加入記録を調べてもらい、その資料も持参してもらいました。
加入歴は、23年8ヶ月でした。
本来なら25年の加入期間がないと、受給権(年金を受け取る権利)は
発生しないのですが、資料を見ると「カラ期間」がマーカーで記入されて
いました。
この「カラ期間」は、合算対象期間ともいい、年金額には反映されませんが
老齢の年金の受給権を発生させることのできる「期間」です。
合算対象期間は色々ありますが、友人の例でご説明しますと....。
和子さんは、昭和45年から2年間会社で働き、昭和47年に結婚、
結婚と同時に専業主婦となりました。
昭和47年当時は、サラリーマン(厚生年金加入の)被扶養配偶者は
国民年金には任意加入でした。
つまり、将来自分の年金が欲しい場合には保険料を支払って国民年金に
加入することも出来ますが、強制加入ではなかったのです。
ですので、和子さんも国民年金には加入していませんでした。
そして年金法の改正で、昭和61年4月から20歳以上60歳未満の
日本国内居住者は、国民年金に強制加入となり、
自営業者、無職、学生の方は国民年金第1号被保険者
厚生年金のある会社で働く人、公務員は国民年金第2号被保険者
国民年金の第2号被保険者の被扶養配偶者は国民年金第3号被保険者
ということで、「国民皆年金」となりました。
和子さんの場合、この国民年金に加入義務のなかった
昭和47年〜昭和61年3月までは「カラ期間」
=年金額には反映されませんが、国民年金の受給資格期間を見る
上では、加入していた期間とみなされることになります。
厚生年金被保険者期間 約1年8ヶ月
第3号被保険者期間 22年
残りの1年と4ヶ月は、この「カラ期間」で補うことができたのです。
和子さんは、
「うまいこと行ってよかったけど、私、お勤めしてた時のほかは、保険料て
一切払ってなかったけど、そんでほんとに年金もらえるの?」
とまだ、ちょっと納得がいかない様子。
その仕組みについても説明し、理解していただくことができました。
●西尾の解説
年金の仕組みが大幅に改正された昭和61年に、2階建て年金システムが
スタートしました。
2階建ての1階部分に当たる基礎年金部分の国民年金は、原則日本に居住
の全ての人に加入が義務付けられました。
そして、2階部分に当たるのが、一般の会社員の厚生年金、公務員の共済
年金等です。
そして、厚生年金や共済年金の被保険者の配偶者(20歳以上60歳未満の
方)は国民年金第3号被保険者となり、厚生年金や共済年金全体でその
保険料を負担する仕組みとしたため、第3号は本人が保険料を支払う必要は
ありません。
そこで、上記の、「保険料はらってないのに....。いいの?」という疑問が生まれる
訳です。
この仕組み自体には異論もあるようですが、現在の制度上で認められていること
なのですから、該当なさった方は大いばりで年金の裁定請求をなさってください
ね。
この「カラ期間」=合算対象期間には、他にも
20歳未満及び60歳以上の厚生年金被保険者期間
共済組合加入期間
平成3年3月31日までの20歳以上の学生である期間
等様々な期間があります。
ご自身や身近な方が、25年の資格期間を満たさないのでは?と不安な場合は
一度この期間についてお調べになることをお勧めします。