★保険&年金基礎知識〜雇用保険が変わります!〜
10月から、雇用保険の求職者給付の基本手当受給資格要件、
平たく申しますと、一般の雇用保険被保険者が失業した際に受給できる
基本手当(失業手当)をもらえるかどうかの条件が変更されるという
ことなのです。
ここで、本題に入る前に、これから出てくる用語を簡単にご説明して
おきます。
短時間労働被保険者 1週間の所定労働時間が20時間以上
30時間未満で、同一事業所の通常の
労働者と比較して短い方のことです。
一般被保険者 短時間以外の方を指します。
算定対象期間 一般の場合、原則として離職の日以前1年間
被保険者期間 離職の日以前の各月に被保険者として賃金の
支払いを受けた日数を月ごとに調べ、
短時間労働被保険者→月あたり11日以上で2分の1箇月
一般の被保険者 →月当たり14日以上で1箇月
の被保険者期間とします。
それではここから本題に...
●現行法で基本手当を受給するには
・一般被保険者の場合
算定対象期間に被保険者期間が6箇月以上あれば基本手当が
受給できます。
・短時間労働被保険者の場合
算定対象期間(離職以前最長2年間とする)に、被保険者期間が
6箇月以上あれば基本手当が受給できます。
現行法では、短時間労働被保険者の場合1箇月働いて2分の1箇月
の被保険者期間にしかならないので、基本手当の受給資格を得るには
最低1年はかかるということになります。
●10月の改正で、こう変わる!
まず、短時間労働被保険者、一般の区別が原則としてなくなります。
・単純な自己都合退職の場合の新しい支給要件(原則として)
算定対象期間(離職の日以前2年間)に
被保険者期間(月あたり11日以上で1箇月)が12箇月あること
つまりは自己都合退職の場合、これまでは最低6ヶ月働けば
受給できた基本手当が、最低1年は働かないと受給できないよ
ということなのです。
・特定受給資格者の場合
算定対象期間(離職の日以前1年間)に被保険者期間
(月あたり11日以上)が6箇月以上あれば基本手当が受給できます。
特定受給資格者とは、簡単に言えば会社都合で会社を退職した人、
パワハラ、セクハラ、残業過多、給料遅配等のやむをえない事情で
会社を退職した人を指します。
●西尾の解説
この改正で、雇用保険を支給する側が何を意図しているかというと..。
現在の若年労働者が短期に就労・離職を繰り返し、労働者としての
経験が蓄積していかない現状を打破したいということではないでしょうか?
6ヶ月働いては離職、基本手当を受給、所定給付日数を経過したところで
どこでもいいので適当に就職、また6ヶ月我慢して....。
というような若年労働者もいると聞きます。
これでは労働者としての経験もスキルも身につきません。
また、若年層に我慢することの意味、努力の大切さ、仕事の面白さ等の
労働に関する基礎的な教育を大人である私達がしっかりできていない
現状もあります。
バブル崩壊後の、経済不況の中で倒産、解雇、リストラという嵐の中の
仕事や職場に翻弄される親を見て育った今の若年層にとって
働くことに興味を覚えないのもいたし方のないことなのかもしれません。
働く面白さ、自分の努力が報われる喜びを何とか若年層に知ってもらうべく
新しい労働のあり方、枠組み作りを考えていきたいと思う今日この頃です。