★保険&年金基礎知識〜雇用保険が変わります!その2〜
10月から、雇用保険の求職者給付の基本手当部分に変更があるお話は
前回させていただきましたが、今回は育児休業給付と、教育訓練給付の
変更点についてお話いたします。
その前に雇用保険の給付内容についてまずもう一度軽くご説明を。
雇用保険、昔は失業保険と呼ばれていた保険ですが、失業時だけの
ためのものではありません。
在職中でも受給可能な給付は
雇用継続給付=「雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付」
*高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付があります。
教育訓練給付=「労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合」
があります。
今回、改正されるのは、この雇用継続給付の中の育児休業給付、そして教育
訓練給付なのですが、ではどう変わるのでしょうか?
●育児休業給付の給付率がアップしています!
育児休業給付は二つあります。
育児休業基本給付金 一般被保険者が産休後育児休業した場合に支給
育児休業者職場復帰給付金 育児休業基本給付金を受けた被保険者が
職場復帰して6ヶ月以上雇用されている
時に支給
この二つの給付今までは
育児休業基本給付金 原則として子が1歳になるまで
休業開始時賃金日額(つまり休む前のお給料1日分)
の100分の30の金額を休業した日数分支給
育児休業者職場復帰給付金 休業開始時賃金日額×育児休業
基本給付金支給日数合計×100分の10
ただし、この休業開始時賃金日額ですが、現実のお給料の日額そのものでは
なく、上限が定められていて、現在は14,140円が上限です。
従って、簡単に言いますと基本給付金と職場復帰給付金合わせて、
休業前賃金の40%が、休んだ日数分貰えるというのが従来の育児休業給付
でした。
それが改正され2007年3月31日以降に職場復帰した人から適用です!
育児休業基本給付金 そのまま
育児休業者職場復帰給付金 100分の20にアップ
あわせて、休業前賃金の50%が休業日数の合計分支給される
ようになったのです。
●教育訓練給付
教育訓練給付は、一般の被保険者が厚生労働大臣指定の
教育訓練を受けた際に、支給されます。
資格学校や通信教育のパンフレットなどに、このコースは
「教育訓練給付制度の指定講座です」と記載されているのを
ご覧になったことはありませんか?
その制度も、この10月から変わります。
従来は?
原則として
教育訓練開始日まで3年以上勤務→訓練に支払った費用の20%
(上限10万円まで)
5年以上勤務→訓練に支払った費用の40%(上限20万円まで)
でした。
10月以降は?
それが
教育訓練開始日まで3年以上勤務→訓練に支払った費用の20%
(上限10万円まで)
に統一されます。
ただし、初回の教育訓練給付受講に限り、継続勤務1年以上で
指定講座の受講が可能となります。
●西尾の解説
なぜ、この部分が改正されたか?
と言うのは、やはり、育児休業給付の受給に関して云えば
産休→育休と進んで、育休を消化した時点で退職という
流れをなんとか食い止め、職場復帰する方を少しでも
増やしたいという厚生労働省の考え方があると思われます。
そして、教育訓練給付ですが、初回継続勤務1年以上で給付を
可能にすることで、40%まで給付される「5年」を待たずに
若年労働者層に教育訓練を受けてもらいたい、という狙いがあるもの
と思われます。
勿論、より多くの人に制度を利用してもらい且つ、費用の総額は抑えたい
という狙いもあるのでしょうが。
仕事をしながら学ぶ、ということはなかなか大変なことですが、
転職するにせよ、社内で立場を築くにせよ、ステップアップのために
「自分に投資する」、働きながら仕事以外のスキルを身につけて
自分に付加価値をつけることは、今後自分と言う商品を労働力市場で高く
売るために有効な戦略です。
最高でも、費用の20%しか支給されないのは痛いですが、それでも
補助がないよりはマシ、勤務中の方の場合、取得した資格によっては
手当が支給されるケースもあります。
スキルアップで、収入アップを是非実現させるべく、多くの方にこの制度を
利用していただきたいと思います。