★保険&年金基礎知識〜保険料率改定のしくみ その1〜
●毎年上がる保険料そのわけは?
まず厚生年金の保険料率も国民年金の保険料も毎年少しずつUPしていく
ことになってます。
*厚生年金は料率で、国民年金は保険料そのものが毎年UPします。
その訳は、と申しますとこんな歴史があるのです。
年金事業は「長期的に財政の均衡が保たれねばならない」と定義づけています。
しかし、年金事業は現役世代が老齢となった世代を支えるという世代間扶養と
いう基本的な考え方の上に成り立っています。
しかし、少子高齢化が比類ないスピードで進展し、このままではこの世代間扶養
という基本ルールだけでは年金事業は成り立っていかないというところまで来つつ
あります。
これまでの年金保険料の杜撰な管理が問われていますが、それ以外の理由で
事態はかなり深刻なのです。
それをなんとか維持しようということで、政府は以下のような様々な手を打ちまし
た。
・老齢基礎年金+老齢厚生年金平均額を現役の平均的男子賃金の50%
までに押さえる。
・雇用保険法等を改正し定年年齢を高めたうえで、年金の支給開始年齢を
段階的に引き上げ、将来的には年金支給開始時期を65歳以降に引上げる
ことも視野に入れる。
他にも様々な施策を講じましたが、理解しやすく主要な施策は以上です。
この保険料の値上げの、厚生年金及び国民年金の仕組みを以下にお話して
いきますね。
●厚生年金保険料率の値上げの仕組み
以下は一般的な(JTやJRそして船員さんを除く)厚生年金の被保険者
の場合の料率です。
厚生年金の保険料率は、平成16年の年金改正で、平成16年10月から
毎年0.354%(1000分の3.54)ずつ上がって行くこととなりました。
でも、どこまでも上がり続けるわけではなく
平成29年9月以降は保険料率の水準を固定する、としています。
*これを保険料水準固定方式といいます。
平成16年10月〜平成17年8月まで 1000分の139.34
平成17年9月〜平成18年8月まで 1000分の142.88
平成18年9月〜平成19年8月まで 1000分の146.42
平成19年9月〜平成20年8月まで 1000分の149.96
というように毎年1000分の3.54ずつ上がり続け
平成29年9月〜 1000分の183.34で固定
というのが今のところの仕組みです。
この料率を標準報酬月額に掛けて、会社と本人で折半するわけですね。
平成29年9月以降は、大雑把に言うとお給料の2割が年金保険料
(本人が負担するのは1割弱ですが)ということになります。
●国民年金の場合
国民年金の保険料も毎年上がってゆくのですが、厚生年金とはちょっと
異なります。
まずUPする時期は、毎月4月から。
そして上がるのは料率ではなく、保険料そのものです。
国民年金保険料は毎年
280円(平成29年だけ240円)ずつUPします。
厳密に言うとその年の予定額×保険料改定率です。
*保険料改定率とは大雑把に言うと前年の物価で変わります。
平成17年度 13,580円
平成18年度 13、860円(保険料改定率1)
平成19年度 14,100円(保険料改定率0.997)
平成29年度以降 16,900円
厳密に言うと16,900円×保険料改定率
ということになります。
●西尾の解説
期間合計特殊出生率という言葉をご存知ですか?
一人の女性が一生に産む子供の数の平均値で、2.08が自然増と減の
境界値といわれています。
その国の女性が一人当たり一生に2.08人出産しないと、その国の人口は
維持できないと言うことになります。
日本はどうでしょうか?
2003年 1.2905
2004年 1.2888
2005年 1.26
2006年 1.32(概算)
となっております。
晩婚化、就職氷河期が一段落し、やっと一段落と言う感じですが、これは
微増。今後爆発的な人口増加は無理でしょう。
でしたら、少ないパイでどうやりくりするかと言う考え方も必要です。
どんな施策を講じても、世代間扶養だけではやっていけない時代に来ています。
高齢者の生活についての負担を現役世代のみに頼るのではなく、
・パート・アルバイトも少ない負担で厚生年金に加入できる仕組みづくりを
・労働条件の格差是正に政府が取り組む
(正社員・その他の形で働く人々間の格差、超大企業とその他企業との格差)
・税金を年金に投入
・働きたい高齢者に仕事を
・女性が働きながら出産・子育てのできる環境整備に政府が真剣に取り組む
少なくとも上記のような施策には、速攻取り組んでいただきたいと思います。
舛添厚生労働大臣!期待してますよ。
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