★保険&年金基礎知識〜育児休業の取り扱いについて〜
まず、会社で働いておいでの女性の子育ての流れについておさらいします。
●子育ての流れ
・保健指導と健診
男女雇用機会均等法で、女性の母子保護法の規定(つまり妊娠中の)
による保健指導と健診を受けさせる義務が事業主には義務付けられて
います。
また、健康診査の結果に基づく勤務時間の変更及び軽減も義務付け
られています。
但し、有給でとは義務付けられていませんので、検診の時間や勤務軽減
による給料の低下はあります。
現実には、出産前なにかとお金のかかる時期なので健診の時間は
半日の年次有給休暇をあてたり、勤務軽減は我慢している人もいると
聞きます。
・産休
労働基準法で、産前6週間産後8週間の産前産後休暇は義務付け
られています。
この期間が有給、という会社は少なく、皆さんこの期間は
健康保険法の出産手当金、出産育児一時金を受給なさいます。
そして、産休が終わっていよいよ、育児休業期間となるわけですが...。
国の子育て支援対策は、各種法律にも整備されつつあります。
1.育児介護休業法
平成17年の育児介護休業法の改正で、産休後一定の場合には
子が1歳6ヶ月まで育児休暇を取ることが可能になっています。
この期間は、産休よりもなお、有給としている会社は少ないです。
また、育休終了後も小学校に入るまでのお子さんをお持ちの社員
には、年5日を限度として子の看護休暇を付与することが事業主
の義務となりました。(有給とは規定していません)
2.雇用保険法
上記の産休後、育児休業を開始した日から、子が1歳
(一定の場合は1歳6ヶ月)になるまで、一定の条件をクリアした人に
育児休業給付基本給付金が支給されます。
金額は、大雑把に言うと休業を開始した時のお給料の額の約30%
です。(でも上限がありますので要注意)
この育児休業給付ですが、平成19年度3月から雇用保険法の改正で、
育児休業者職場復帰給付金(10%→20%へ)がアップされました。
そして、以下が今回お話したい点なのですが、改正点は上記だけではなく
平成19年10月1日以降に育児休業を開始された方から、
育児休業給付の支給を受けた期間は、基本手当の算定基礎期間から除外
されることになりました。
ん?これって意味わかんない、とお思いの方のために以下に詳しくご説明します
ね。
●育児休業給付の支給期間を基本手当の算定基礎期間から除外する
ってどういうこと?
前にもお話しましたが
基本手当の算定基礎期間とは、大雑把にいうと事業主に雇用されていた
期間、つまりひとつの会社に在職していた期間のことです。
この算定基礎期間で(特定受給資格者の場合は+年齢で)、失業等給付の
基本手当(つまりは失業手当)の給付日数が決まります。
特定受給資格者、就職困難者以外の方の場合、
算定基礎期間 〜10年未満 90日
10年〜20年未満 120日
20年以上 150日
と決まっています。
特定受給資格者の場合ですと、もっと細かく年数が定められています。
この算定基礎期間に、育児休業給付(育児休業給付基本給付金及び
育児休業者職場復帰給付金)を受給した期間は算入しない、といってい
いるのです。
なぜなら、この期間はもう雇用保険からの給付を受給しているから
という訳です。
●西尾の解説
私の個人的な意見としては、育児休業後も引き続き働く意思のある社員が
育児休業を取得したのだから、その期間は算定基礎期間に入れて欲しい
と思います。
長期欠勤者(病欠等の場合)でも、賃金の支払いのあるなしにかかわらず
事業主との雇用関係が存続していれば、その期間は被保険者として
算定基礎期間となります。
これでは、子育てを支援している、とは云えないのでは?
例えば3人のお子さんを働きながら育てた場合、3回育児休業すれば
ほぼ3年が算定基礎期間から除外されるということになり、
「働くお母さんを国がサポートします!」という看板に偽りありだと思います。
==========================================================