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働くあなたの公的年金&保険
知っ得情報 NO.30 2007.12.15.
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★保険&年金基礎知識〜第三者委員会を考えるーその2〜
★トピックス〜ねんきん特別便に要注意〜
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12月13日、福田首相は、夏の参院選挙時の公約
「今年度末までに宙に浮いた年金記録5000万件の全ての名寄せを
1年以内に完了する」の実現が事実上不可能であることを認めました。
また、舛添厚生労働大臣は14日、現在8億5000万件ある年金記録
紙台帳との照合作業に来年度は3300万件分しか作業予算を計上して
いません。
これでは、早い報告が望まれる現在既に高齢となっておられる方に、
いつ、どの程度の報告が出来るのかさえわかりません。
前号でも述べましたが、信頼できる年金制度であることを国民に立証する
ためには、「お金を払った人に確かに年金を支給する」ことが不可欠です。
全ての年金支払者に早急な報告をすることが不可能であるならば、
せめても二次的な策として、
年金記録に問題があった場合の国民の不審や異議申立を解決する
第三者委員会の活躍が望まれるところです。
現在約2.4%しか審査が進んでいない第三者委員会の審査ですが、
実際にどんな事例があるのか興味がありますよね。
今回は審査事例をご説明しますね。
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★保険&年金基礎知識〜第三者委員会を考えるーその2〜
●第三者委員会の審査事例
1.資格取得日の相違(国民年金)〜昭和16年生まれの女性〜
社会保険庁記録 資格取得日 昭和47年2月16日
申立人の主張 昭和47年2月に過去1年間分の保険料を遡って
納付している。記録がないというのは納得できない。
第三者委員会結論 46年2月から47年1月まで保険料を納付していた
と考えられ、記録の訂正が必要。
委員会判断理由 当事者の所持している年金手帳の発行日及び
資格取得日が46年2月16日と記載されている。
また社保庁の記録が46年2月16日から47年2月
16日と書き直されている。
47年以降、当事者はすべて保険料を納付している。
2.特例納付期間の保険料納付(国民年金)〜昭和25年生まれの女性〜
社会保険庁記録 昭和45年5月〜昭和51年3月までの納付記録が
ない
申立人の主張 昭和49年2月2日、市役所で納税の際国民年金
への加入を勧められ、20歳に遡って納付。その後の
保険料については送付された納付書で納付したの
に記録がないのは納得できない。
第三者委員会結論 45年5月から51年3月まで納付していたものと認め
られる。納付記録の訂正が必要。
委員会判断理由 申立人の当時の日記に昭和49年2月2日市役所
にいったことが記載されている。昭和49年当時
市役所では税務相談の際国民年金への加入を勧
めていた。
49年2月当時は特例納付のできる期間であり、
申立人は当時の同僚に申立期間中に保険料を
納付していると話していた。
加えて、申立人は申立期間を除く国民年金加入
期間の保険料をすべて納付していた。
3.特例一括納付の時期の問題(国民年金)〜昭和16年生まれの女性〜
社会保険庁記録 昭和36年9月〜昭和45年3月までの納付記録が
ない
申立人の主張 昭和40年ごろ、区役所で国民年金の加入手続き
を行い、5年間分ぐらいを一括納付、その後は集金
人に納付。未納となっていることは納得できない。
第三者委員会結論 46年9月から45年3月まで納付していたものと認め
ることはできない。
委員会判断理由 申立人の国民年金手帳(昭和45年5月1日
発行)の記載が昭和36年9月(20歳)からの強制
加入者となっている点については、市の事務処理上
20歳からの強制加入者として取り扱ったため。
昭和40年当時特例一括納付は実施されておらず
5年間分を一括納付することはありえない。
さらに、40年ごろ加入手続きを行った際に交付され
た記号番号が45年発行の国民年金手帳の記号
番号と同じものであると本人は主張しているが
年金番号払出簿において45年に払い出された番
号が、それ以前に払い出されて使用されていたとは
考えにくい。
4.学生の任意加入〜昭和43年生まれの男性〜
社会保険庁記録 昭和63年12月〜平成3年3月までの納付記録が
ない
申立人の主張 昭和63年12月から平成3年3月まで学生として
任意加入し、国民年金手帳の被保険者となった日
の欄には昭和63年の誕生日の前日が記載。
当時保険料は銀行引落しにより納付したと記憶して
おり納得できない。
第三者委員会結論 申立期間について納付していたものと認めることは
出来ない。
委員会判断理由
申立人が申立期間について任意加入を行い、保険
料を銀行口座振替で納付していたことを示す関連資
料がない。
また、申立人の国民年金手帳番号記号は平成2年
8月に取り消され還付記録はない。
また、申立人に対して学生も強制加入となった平成
3年5月に再び記号番号が払い出されている。
この期間既に取り消された記号番号で銀行口座
振替納付を行っていたとするのは不自然である。
さらに、20歳当時別の年金手帳記号番号が払い
出されていたことをうかがわせる事情が見当たらない。
5.厚生年金保険被保険者として〜昭和26年うまれの男性〜
社会保険庁記録 昭和45年7月〜46年3月までの加入記録がない
申立人の主張
申立期間については、親族とともに勤務しており、
当時の社長も申立人の顔を覚えているので、厚生年
金の被保険者であることを認めてほしい。
第三者委員会結論 申立期間について、厚生年金保険被保険者として
保険料を給与から控除されていたと認めることは
できない。
委員会判断理由
申立人が勤務していたとする会社から社会保険関係
の業務を委託されていた社会保険労務士が保管する
当該事業所の台帳に申立人の親族に関する記録は
あるが、申立人の記録はない。
雇用保険の加入記録にも申立人の記録は存在し
ない。これらを総合的に判断し、認められない。
●西尾の解説
第三者委員会への申立は、圧倒的に国民年金が多いです。
厚生年金の場合は、会社としての記録、本人の給与明細等でかなり
証拠立てが容易ですが、問題は国民年金です。
上記事例で、「特例納付」という言葉が出てきましたよね。
これはどういうことかと申しますと....。
学生の納付特例以外の通常の国民年金の場合、保険料の納付には時効が
あります。遡っての納付は2年前までです。
国民年金は、国民皆年金システムで強制加入とはなっていますが、システム
がスタートしたのは昭和36年。昭和40年代〜昭和50年代前半はまだまだ
国民年金の一般的な認知度は低かったのです。
そこで、政府はこういう「いいシステムがあるよ。いま掛け金を掛けておくと老後は
安心だよ。本当は時効で2年以上前の分は納められないけど、いままで
知らなかった人のために、いまなら過去の分まとめて納めてOKにしてあげるよ。」
という特例納付制度を3回にわたって実施しました。
「特例納付」が行われた時期と件数は次の通りです。
1回目 昭和45年7月〜昭和46年6月=約219万件
2回目 昭和49年1月〜昭和50年12月=約280万件
3回目 昭和54年7月〜昭和55年6月=約229万件
当時、国民年金の保険料は市役所、区役所、町役場で徴収していました。
残念なことですが、一括納付された保険料の着服や横領もあったと聞いて
います。
確かに納付していても、何十年も前の記憶はあいまい、領収書もなく、
そして、そのような事実はなかった、と突っぱねられたケースの中に横領や
着服は絶対になかった!とは言い切れないのではないでしょうか。
また、事例の明暗を分けているのは、証拠の有無と記憶。
そして、国民年金の場合は申立期間以後しっかり保険料を納めていたと
言う実績です。
当初、「人柄を見て....。」などという話も有りましたが、実際は厳しい審査と
判断がなされています。
証拠がなく、記憶があいまいな場合、人柄以前に認められないというのが
現実です。
納付記録に不備があり、疑問を感じながらも
現時点までに異議を申し立てることもなくお亡くなりになってしまった方も
おいでになると思います。
また、特別支給の老齢厚生年金、受給権があるにもかかわらず時効で
受給できない方も大勢おいでです。
西尾は以下の2案を是非是非実施して欲しいと考えます。
1.特別支給の老齢厚生年金の時効の撤廃
2.第三者委員会に異議申し立てをしてきた人で、完全に記憶違い
だった場合を除き、異議のある人で高齢の人にはとりあえず年金を支給する。
もし本人が虚偽の申立をしていたことが実証された場合には倍返し。
高齢の方に残された時間は多くはありません。そして今目の前の生活に困ってい
る場合が多いです。
保険料を払ったと異議申し立てをしている65歳以上の人には、ごたごた言わず
年金を支給してあげてください。
昭和36年に年金制度がスタートした時には、無拠出の老齢年金(保険料を
支払わずにもらえた福祉的な性格の老齢年金)だってあったのですから。
第三者委員会の運営、維持にかかる費用と、異議申し立てをしてきた
65歳以上の人に支払う年金、もしかしたら、とんとんかもしれないと
私は思うくらいです。