ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
               働くあなたの公的年金&保険
               知っ得情報 NO.32      2008.01.15.
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
 
■■■■■■■■■■■■目次■■■■■■■■■■■■
★保険&年金基礎知識〜労災の請求について〜
★トピックス〜パートタイム労働法改正ダイジェスト〜
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 
お正月休みが終わった途端の三連休で、ちょっと調子がでないと
思っておいでだった方も、今日でエンジン全開と参りましょう。
 
よくマスメディアで取り上げられているうつ病や過労死による労災認定。
労働基準監督署長の認定を得られず、認定までに裁判を重ね、
長いものでは10年以上かかっているケースもあります。
大黒柱と頼む配偶者や、最愛の家族を失った場合、頼るものは
公的な補償となり、生活資金としてすぐ必要なはずなのに、なんで
認定までに時間がかかるの?と疑問に思われたことはありませんか?
今回は、そんな労災の裁定請求を取り上げます。
==========================================================
★保険&年金基礎知識〜労災の裁定請求について〜
 まずは、労災の基礎知識のおさらいから
 
●労災基礎知識
 労災、正式名称は労働者災害補償保険。
 業務上、通勤により発生した「労働者」の負傷、疾病、障害、死亡を補償
 する保険です。
 業務に由来する疾病を未然に防止するため、二次健康診断に関する
 保険給付もあります。
 この保険の対象となる「労働者」は、アルバイト、パートタイマー、日雇労働者、
 外国人労働者(不正就労を含む)等、身分の如何を問わず、労働者を
 ひとりでも雇っている「事業」で働き、賃金の支払いを受けている人全てを
 さしています。勿論、派遣労働者も派遣の事業で補償されます。
 この「労働者」に含まれないのは、法人の代表取締役、個人事業主(特別
 加入者を除く)など、事業と実質的に使用従属関係のない人です。
 ・労災の対象となる災害は?
  1.業務災害(業務上の負傷、疾病、障害、死亡)
    業務災害と認定されるためには、まず第一に「業務起因性」、そして次に
    「業務遂行性」があるかどうかで判断されます。
  2.通勤災害(通勤による負傷、疾病、障害、死亡)
    通勤に通常伴う危険が具体化した災害と規定されています。
●労災の裁定請求はどうするの?
 まず、裁定請求とは、労働者が業務災害又は通勤災害に被災した場合
 その補償を受けるために行う請求手続きのことです。
 労災の補償となる保険給付には医療機関で受ける医療の現物支給と、
 被災により仕事が出来ない間の収入を補償する現金給付があります。
  ☆裁定請求の流れ(業務災害の場合)
   ・医療の現物支給=療養補償給付を受けるためには、
    「療養補償給付たる療養の給付請求書」を、医療を受ける
    労災指定病院の窓口に提出します。
   ・現金給付=休業補償給付
    「休業補償給付支給請求書」を事業所管轄の労働基準監督署長に
    提出します。
   ・現金給付=傷病補償年金
    この傷害補償年金は、被災労働者の請求ではなく、事業所管轄の
    労働基準監督署長の決定により、休業補償給付に変えて支給
    されるものですので、請求書の提出は必要ありません。
   ・現金給付=障害補償年金、遺族補償年金
    それぞれ「障害補償給付支給請求書」、「遺族補償年金支給請求書」
    を事業所管轄の労働基準監督署長に提出します。
  ☆裁定請求には
   この各種請求書ですが、どの請求書でも必ず事業主の証明欄があり、
   事業主の住所、名称、代表者印が必要です。
   これは、どういうことか?といいますと。
   明白な通勤災害、事業所内で勤務中に負傷したというような明白な
   業務災害の場合、事業主の証明を得ることは比較的簡単です。
   *この頃、労災隠しの事例もないとは申せませんが。
   しかし、業務起因性や業務遂行性の立証が難しい疾病等の場合
   事業主の証明を得ることが難しく、その上、労災の認定を得ることも
   難しく、裁判での争いしか道がなく長期化するというケースが出てくるの
   です。
   
●労災認定の流れ
 労災の給付は、被災労働者が事業主の証明の下に労働基準監督署長
 に請求し、労働基準監督署長がその請求を認定することで給付される、
 というのが流れなのですが、
 1.事業主が、業務災害と認める証明をしてくれない場合は?
   事業所管轄の労働基準監督署長に申し立てます。
   事業主印のない請求書に、申立書(正式な書類ではありませんが
   被災し、事業主に証明を求めたが証明を得られなかった経過を
   記載します)を添えて、労働基準監督署に提出します。
   その際、業務災害の状況、もし過労による疾病の場合であれば、
   具体的な勤務実態を示す証拠(取れる範囲でいいので、タイムカードの
   コピー、給与明細、残業記録等)及び医師の診断書等の証拠書類も
   添付します。
   この申立を受けて、労働基準監督署労災課は、事業主に連絡、事情の
   説明を求めます。
   その上で、労災に該当するか否か、労働基準監督署長が判断します。
 2.労働基準監督署長の判断がNOだった場合
   労災の請求には、事業主の証明があったほうが、それは物事はスムーズに
   運びます。
   しかし、事業主の証明の有無に係らず判断するのは労働基準監督署長
   です。
   労働基準監督署長が、この災害は業務災害にあらず、と判断した場合
   にするのが、審査請求です。
   審査請求は、労働基準監督署に備えられている審査請求書に
   必要事項を記入し、都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官に
   対して行います。
   審査請求で決着がつかなければ再審査請求、と二審制となっています。
   これでも、決着しない場合、どうしても不服である場合に処分取消の訴えを
   裁判所に起こす=つまり裁判に委ねるということになります。
   裁判は、地裁→高裁→最高裁となります。
 
    そこで、10年の長きにわたる訴訟の結果の認定、というケースも生まれる
   のです。   
   
●西尾の解説
 ここで実際の事例から是非、皆様にお話しておきたいことがあります。
 
 私の知り合いで、残業続きで循環器系の病気を発病、お亡くなりになった方
 がいました。(私が社労士になる勉強を始める前のことです)
 その方の奥様は、残業続きで過労だから労災が下りないかな?と思い
 会社に相談したところ、「会社の恥になるから会社のハンコは押せない!」
 とけんもほろろに断られ、ハンコがないなら労働基準監督署が認めて
 くれないと思い、泣く泣く請求を諦めたと後に話してくれました。
 このような場合、会社が証明してくれなくても、請求書と申立書で労災の
 裁定請求はできます。
 監督署長の認定が下りるかどうかはその後の話ではありますが、
 請求は可能なので、会社の証明がないから諦める、必要はありません。
 是非、そのことは覚えておいていただきたく思います。
 
 また、過労、職場でのいじめ、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントに
 起因する精神的肉体的な疾病や死亡は増加しています。
 その労災認定を求めて争うケースもたくさんあります。
 過労死や、職場の人間関係に起因する疾病を労災認定するケースは
 増えてきてはいますし、いいことだと思います。
 しかし、そんな悲惨な労働災害を未然に防ぐことは無理なのでしょうか?
 業務上の疾病を未然に予防するために、二次健康診断等給付だけでは
 なく、もっと広範囲の予防措置が必要ではないかと考えます。
 常識を疑うようないじめやセクハラ、パワハラ事例を見ると、
 パワハラ等の労働被害を惹起した事業主、管理者の厳罰及び事業所名の
 公表が必要になってくるのではないかと思います。
 また、働く側には、人間関係の構築に関する訓練を、
  ・義務教育の一環として施す
  ・現役労働者世代には、ハローワーク等の公共職業訓練のカリキュラムとして
   取り入れる
 ような対策が必要ではないかと考えます。
 
==========================================================
★トピックス〜パートタイム労働法改正ダイジェスト〜
 
平成20年4月にパートタイム労働法、正確には「短時間労働者の雇用管理の
改善等に関する法律」が一部改正されます。
 
これは、パート、アルバイトと呼称されていても、実質的には正社員と遜色なく
働いているパートタイム(短時間)労働者の方々の待遇を、
なんとか正社員に近づけたい、という意図の改正です。
 
しかし、実態はまだ見えてきておらず、大企業で働く短時間労働者さんに多少
恩恵があるかな?と期待する程度なのですが、簡単にご説明しておきます。
 
・今回の改正の目的
 パートタイム(短時間)労働者の公正な待遇の実現と就業環境の整備
・具体的な改正点
 以下の点において、
 1.通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者については
   賃金、教育訓練、福利厚生等の待遇における通常の労働者との
   差別の禁止
 2.1.以外のパートタイム労働者については、賃金、教育訓練、福利厚生
   について均衡のとれた待遇の確保に関する配慮義務等
 3.雇い入れ時の労働条件に係る書面明示義務・努力義務
 4.正社員への転換を推進する制度の実施義務
 5.待遇の決定に当たり考慮した事項に係る説明義務
 6.パートタイム労働者と事業主の紛争解決制度の創設
 7.過料制度の創設
 等があります。
●問題点
 この改正の問題点は、いくつかあります。
 
 この改正では、パートタイム労働者を
 ・通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者
 ・2要件充足パートタイム労働者
 ・一般パートタイム労働者
 と区分しています。
 この区分が、実際のパートタイム労働者に十分納得がいくように
 説明でき、また運用していけるのか?という点です。
 
 また、このパートタイム労働法では、アルバイト、パート、契約社員、嘱託社員、
 どんな呼称でも通常の労働者より、1分でも1週間の所定労働時間が短か
 ければ、短時間(パートタイム)労働者と規定しています。
 つまり、どんな呼称でも、通常の労働者と同じかそれ以上の所定労働時間
 であれば、パートタイム労働者ではない、ということです。
 これに当てはまるのが、契約社員(有期労働契約対象労働者)で、この方々
 は、厳密に言えばこのパートタイム労働法によって守られてはいません。
 そこで、このような方々に関しては、パートタイム労働者に対すると同様に
 留意するよう求められています。
 しかし、この有期労働契約者に関する法律が明文化される必要があるのでは
 ないかと思います。
 
 また、通常の労働者、という規定にも問題があります。
 雇用が多様化している現在、労働者が派遣社員、契約社員等のみで
 通常の労働者の待遇そのものが、パートタイム労働者となんら変わりが
 ない場合等、待遇改善には全く結びつきません。
 
 以上、もう少し様子を見なければ、納得しかねるパートタイム労働法改正
 のダイジェストでした。
 
============================================================

〜〜〜〜〜〜編集後記〜〜〜〜〜〜〜〜
地球温暖化の影響でしょうか。
今年も私の生息する京都は暖冬です。
通勤の道すがら見上げる辛夷の木はもう
白い蕾が膨らんできました。
黄色い蝋梅も、可憐な花をつけています。
 
あまり暖かくて、これでは「雪見で一杯の楽しみもない」
等と贅沢なぼやきが出てくる今日この頃です。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
*********************************************************
年金についてのご相談なら
西尾雅枝社会保険労務士事務所
社会保険労務士&年金コンサルタント
西尾雅枝
〒604-8155
京都市中京区錦小路通室町東入ル
占出山町308 ヤマチュービル2F N10
電話&FAX(075)241-4586
メール
info@nishio-sr.com
WEBサイトhttp://www.nishio-sr.com
*このメールマガジンの無断転載・転用は固くお断りいたします。*
*********************************************************
------------------------------------------------------------
働くあなたの公的年金&保険知っ得情報
発行システム:『まぐまぐ!』http://www.mag2.com
配信中止はこちら』http://www.mag2.com/m/0000180112.html
-------------------------------------------------------------