●後期高齢者医療制度とはどんな制度
平成18年10月から既に70歳以上でも現役並みの所得を有する方
(原則標準報酬月額が28万以上)の場合、自己負担も現役並みの
自己負担3割となりました。
そして、平成20年4月から70歳〜74歳の方は原則2割となりましたが、
21年3月までは一定以上の収入の方を除き1割負担に据え置きです。
また、これまで75歳以上((65歳以上で一定の障害の状態にある方含む)
になると老人保険制度の適用を受け、原則1割負担(一定の収入のある方を
除く)でしたが、
平成20年4月からは、75歳以上の方(65〜74歳で一定の障害の
状態にある方含む)は、都道府県が主体となる後期高齢者医療制度に加入
することとなります。
窓口負担は、上記現役並み所得者を除いては1割のままです。
国民健康保険の被保険者→後期高齢者医療制度に横滑りですが、
問題は健保の被保険者・被扶養者さんです。
この場合、被保険者さんは後期高齢者医療制度に移行、と言うことになる
わけですが、この制度には被扶養者と言う概念はありませんので、これまで
健保の被扶養者だった方は、新たに加入ご自身の保険証を持ち保険料を
支払うということが必要になります。
また75歳になり健保の被保険者資格を喪失した場合、75歳未満の扶養さ
れている方(家族の皆様)も被扶養者でなくなるため、新たに国民健康保険等
に加入することとなります。
●保険料はどうなるの?
今まで、保険料が必要なかった75歳以上の健保の被扶養者も
保険料を支払わなくてはならない、というのが大きなポイントです。
政府はこの後期高齢者医療制度が政権維持の障害になることを
考慮したのか、以下のような施策を打ち出しました。
健保の被扶養者で75歳以上の方は、原則平成20年4月から9月までの
6か月間は無料となり、平成20年10月から平成21年3月までの6か月間
は、頭割保険料額(被保険者均等割)が9割軽減された額となります。
そして、保険料はいくらになるのか?
これは各都道府県で、まちまちなので、一概にいくらになるとはいえないのです
が、WEBサイトで保険料をチェックできるところを見つけました。
リンクできなくて申し訳ないのですが、日本共産党のHPに後期高齢者医療
制度の保険料計算システムが掲載されています。
その保険料が正確かどうか検証していないので、あくまでも参考と言うことで
興味のある方はチェックしてみてください。
ただし、どんなに収入のある方でも、保険料の年間上限は50万円と設定され
ています。
●西尾の解説
この後期高齢者医療制度は、高齢者の医療費の財源確保のために
年金受給者から保険料を取ることを目的にスタートさせたとしか、私には
思えません。
健保の被扶養者の要件のひとつ、収入要件には60歳以上の場合、
年間収入180万円未満という項目があります。
例えばこういうケースがあるとします。
健康保険の被保険者の雅夫さん(50歳)の被扶養者には、配偶者
松子さん(45歳)、長男竹男さん(15歳)、雅夫さんの父梅太郎さん
(78歳)、母奈美さん(76歳)がいたとします。
梅太郎さんの老齢の年金が170万円、奈美さんの年金は70万円としますと
今まで梅太郎さんと奈美さんは雅夫さんの被扶養者として保険料を支払う
必要はなかったわけです。
ですが、平成20年の4月からは、お二人とも雅夫さんの被扶養者から抜けて、
後期高齢者医療制度にそれぞれ加入し、それぞれの年金から保険料を支払う
ことになります。
障害や遺族の年金は保険料徴収の対象となる収入からは省かれますが、
老齢の年金は徴収の対象となる収入に当てはまります。
これは、75歳以上で年金だけがたより、息子夫婦はマイホーム作りと子供
の教育でとてもとても老親をまるまる面倒見きれない、老親も息子の家族に
迷惑はかけたくない、というような日本のどこにでもある家庭を直撃していると
思います。
それならそれで、一定の水準以下の老齢の年金の増額は全く不可能なの
でしょうか?
そこを厚労省は検討して欲しいです。
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★トピックス〜4月から大学や専門学校へという方へ〜
4月から大学1年生!専門学校生!という方にせひせひ知っておいていただき
たいことがあります。
実は、身近に、学生の期間は20歳になっても国民年金の保険料は払わなくて
もいいと思い込んでいて、社会人になるまで保険料を滞納していた!という方
がいました。
学生であってもなくても、日本国内に住所を有する人は20歳になったら、国民
年金の被保険者となって保険料を納付する義務があります。
学生の場合は、申請することによって保険料の納付が猶予されますが、この期間
は後々追納しない限り年金の計算の基礎となる期間とはなりません。
正確に言いますと、前年の所得が118万円以下*であれば申請すれば保険料
の納付が猶予されます。
*正確には118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
ただし、この期間については他の免除制度とは違い、追納しないと年金には
反映しませんよ、ということです。
ですから、学生でも、アルバイトその他で収入がある場合は、保険料を納めてくだ
さいね。ということです。
くどいようですが、20歳になったら学生でも納付義務がありますから、保険料を
納付するか、それとも納付猶予の手続きをとってください。手続場所はお住まい
の地域の市町村の国民年金の窓口です。
どうしてか、といいますと、20歳以上で万が一障害を負った場合、保険料を納付
していないと、障害基礎年金の対象とならない場合もあるのです。
万が一のために、ぜひこれだけは覚えておいていただきたいです。