老齢厚生年金なんて、一種類だけでしょ?
みんな同じに決まってるやん。
私の友人は、そう言いました。
でも、あるんです。2種類。
私の友人たちが、自分の年金をもらえる年代になってきました。
そんな友人たちから、年金の相談を受ける機会も増えてきたのですが、
みなさん、おっしゃることはほとんど同じ。
「年金貰うのもう少し遅くしたいんだけど、どしたらいいの?
もらうの遅くしたほうが年金は多くなるんでしょ?」
友人たちは、「60歳前半の厚生年金」(これが今日お話しする
特別支給の厚生年金です!)を受け取ることができる年代です。
まだまだ働いている方も多く、定年年齢引き上げに伴う給与所得のある人、
自営業で収入がある人などは、
年金額が増えるなら今すぐに手続きすることはないよね?と相談を受けます。
でもね、ちょっと違うんです。
●特別支給の老齢厚生年金(60歳前半の厚生年金)とは?
この制度を簡単にご説明しますね。
昭和60年に厚生年金保険法が大きく改正される前は、
被保険者期間が20年以上あれば、60歳から老齢の年金を受け取ることが
できました。
しかし、昭和60年の大改正で、原則としてとして老齢厚生年金は65歳から
と決まりました。
でも、その時、59歳の人、どうします?
さあ、来年から楽しい年金生活やぞ!と思っていたら
「えらいすんまへんなあ!あれ、65歳からになりましてん。
あと6年待っとくなはれ。」
って、突然言われたら、困りますよね?
そうです。一気に年金受給開始年齢を引き上げることは、定年が間近に迫った
方々の定年後のライフプランを大きく狂わせることになります。
そこで、65歳からの支給とする前に
段階的に、支給開始年齢を引き上げることにしました。
60歳〜65歳の厚生年金に支給する年金を
二つに分けました。
報酬比例部分(65歳からの厚生年金部分にあたります)
定額部分(65歳からの基礎年金部分にあたります)
そして、平成6年改定により、まず定額部分と言われる部分
の支給開始年齢を、まず段階的に引き上げることにしました。
次に、平成12年の改定で、報酬比例部分の支給開始年齢も段階的に
引き上げて行くことにしました。
そして、平成37年度には、最終的に男女とも65歳からしか老齢厚生年金を
受け取ることができなくなります。
この60歳から65歳までに受け取る老齢厚生年金のことを、65歳以降に
受け取る本来の厚生年金と分けて、「特別支給の老齢厚生年金」
というのです。
この年金、60歳から65歳までの経過措置的な「有期年金」なので、
65歳以降の年金とは違います。
受取開始年齢を遅らせても、年金額が増えることはありません。
そして、60歳以降、頑張って会社で働く人にはつらい話なのですが、
60歳以降も厚生年金に加入して働いている場合、
年金額と給与(ボーナス含む)を合算した額が、限度額を超えると
年金が減額されます。
何、全額年金が停止される、私は今までなんのために高い保険料払って
きたんやと反応は様々です。
私の場合はさてどうなるでしょうか。
(自営業者は、関係ないんですね、これが)
●西尾の解説
大雑把に、60歳から65歳の「特別支給の老齢厚生年金」のお話を
しましたが、お分かりいただけましたか?
60歳〜65歳の厚生年金は、有期年金、そして年齢階層別に
支給開始年齢が遅くなってゆく、というものです。
この支給開始年齢は、生年で異なるのですが、
女性のほうが男性より、少しだけ支給開始年齢が早いです。
これは、女性の定年が55歳、男性60歳という時代があったから
なのです。
男女雇用機会均等法ができる以前も以前、昭和40年代に、
私が就職したころのお話ですが。
なんと、私の就職した会社、女性の定年年齢が45歳でした。
今では、考えられないお話です。