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★保険&年金基礎知識〜解雇の基礎知識〜
●労働基準法上の「解雇」
解雇とは、
使用者が、将来に向かって、一方的に、使用する労働者と締結した
労働契約を解約する意思表示のことです。
以下のような場合は、解雇には当たりません。
1.労使間の合意による労働契約の解約
「不況になってもうやっていけない。おまえはクビや!」
と使用者に一方的に言われた場合は解雇ですが、
「この頃、不況で経営が苦しいので、今退職してくれるなら
月末までの給料は保障するけどどうやろ、やめてくれへんか?」
と言われて、納得して退職した場合は、退職勧奨に応じて
退職したということになり、解雇には当たらないということに
なってはいます。
しかし、退職を強要された場合等あり、解雇にあたるかどうか
、難しいところです。
2.有期労働契約の期間満了による労働契約の終了
3年契約で勤務し、期間が満了した場合等の有期労働契約が満了した
場合も、解雇にはあたりません。
1年以上の有期労働契約の場合、契約満了の30日前までに、契約を更
新しない場合は予告する義務が使用者には課せられています。
3.任意退職による労働契約の解約
労働者が、自分から退職する場合も、解雇には当たりません。
たとえば、使用者が解雇を言い渡したあと、労働者が
「けったくそ悪いし、自分からやめたるわ!」
といった場合、任意による退職となり、解雇には当たらないと
みなされる場合があります。
●こんな場合は解雇されません
1.業務上の負傷、疾病の期間及びその後の30日間
たとえば、仕事場で作業中、棚から物が落ちてきて骨折した場合、
療養の期間とその後の30日間は、使用者は解雇することができません。
ただし、療養開始後3年を経過した場合、または打ち切り補償を支払った
場合は、解雇可能です。
2.女性の産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)産後8週間及びその後30
日間。
ただし、休業可能な期間でも、その女性が就業していれば解雇は可能
です。
●解雇の有効性
使用者側が、一方的に「お前はクビや!」と言えば、解雇は成立するかという
と、そんなことはありません。
労働契約法第16条には
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められ
ない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
と謳われています。
これは、どういうことかといいますと、使用者は、自分の都合だけで
めったやたらに首切りをしてはあかんで、ということです。
●解雇の予告
手順を踏めば、即解雇OKというわけではありません。
労働者にも生活というものがあります。
明日から来なくていいよ、は通りません。
解雇には、解雇の30日前までの予告(歴月)、または即日解雇であるなら
解雇予告手当(平均賃金大雑把に言うと日割り賃金の30日分)が必要
です。
これは、日雇労働者や試用期間中(14日(歴月)までの者)等の一定の
人を除いて、必要とされています。
今でも、ごく稀ですが、「明日から来なくていい!」などという理不尽な
経営者もいるようですので、覚えておいてください。
●西尾の解説
会社員なら、解雇、というのは誰にでも降りかかる虞のある災難です。
解雇=クビ=自分の力不足
というような単純な図式では捉えきれない問題です。
解雇という現実に直面したとき、まず冷静に(といっても大変だとは思いますが)
解雇という事実を考えてみましょう。
会社の置かれている状況、自分の立場、解雇を受け入れた場合と受け入れな
い場合の自分の将来のシュミレーション等、冷静に考えてみなければならない
ことは山積しています。
そして、今、解雇とは無縁の状況にある会社員のあなた、
どんな盤石な会社でも、明日のことはわかりません。
これだけは、会社員なら、しておきましょう。
1.社内に敵を作らない。
2.会社に隙を見せない。
無断欠勤・遅刻・早退はしない、会社の勧奨と冠婚葬祭以外では
長期休暇は取らない、異動・転勤に際してわがままを言わない等々
3.社外の人脈を大切に。
4.いざという時のための貯蓄はしっかり。
会社に切られにくい、他の会社でも生きていける実力をしっかり身に
つけましょう!