皆様もご存じのように、労災保険=労働者災害補償保険とは、
仕事中・通勤途中での疾病や負傷に関して、国から色々な給付がされる制度
です。
法人であれ個人事業であれ、1人でも他人を雇用した場合には、
雇用形態には関係なく、正社員でもアルバイト、パートでも、日雇いでも、
加入しなければならない制度です。
他の公的保険制度とは違い、加入するのに働く日数、時間の条件はありませ
ん。
保険率は業種により定められ、全額事業主負担となります。
労災保険率は、おおむね3年ごとに改定が行われていますが、今年の4月から、
保険率が改定されることになりました。
38業種は引き下げとなり、据え置きが11業種、引き上げが5業種となります。
この改定で保険率の最高は、水力発電・ずい道等新設工事の1000分の103。
要するに、ダムやトンネルの新設工事がいちばん労災事故の発生率が高いから
保険率も高いよ、ということです。
最低は、その他の各種事業の1000分の3となります。
雇用保険率も引き下げられる予定ですので、これで労働保険の保険料負担は
大分軽くなるのではないでしょうか。
毎月徴収される社会保険料とは違い、労働保険の保険料徴収は見込み賃金
額で1年分前払い方式。1年経過後、実際に支払った賃金額から保険料を
再計算して確定し不足・超過額の清算を行うと同時に向こう1年の見込み
賃金額で保険料を計算して前払い、これを毎年繰り返していきます。
これを「年度更新」といいます。
この「年度更新」の時期も今年から変わります。
従来は4月1日から5月20日の期間でしたが、今年から6月1日から7月10日まで
が、申告・納付時期となり、必要書類の年度更新申告書も5月末に各会社宛
送付されます。
新しい保険率はこの申告書に印字されていますが、保険料の算定時期は4月か
ら翌年3月までと変わりなく、給与計算される場合には予め新しい保険率を確認
する必要がありますので、ご注意下さい。
延納の場合は、納付期限が2期目は10月31日、3期目が翌年1月31日となりま
す。
(事務組合は別納期限)
●西尾の解説
ですので、今年から、労働保険の「年度更新」と社会保険の「定時改定」
の時期がダブルということになります。
納期限の改定は、社会保険の算定基礎の時期に合わせたほうが、
事務手続き上宜しいのではないかという意見が以前からあり、
それに従い変わったわけです。
会社で、総務人事、給与計算などご担当の皆様は、お仕事の
年間スケジュールをお立てになるとき、お気をつけください。
私が、社労士の受験勉強をしているときは、労災保険率の最高は、
木材伐出業、水力発電・ずい道建設の1000分の133、
最低はその他の事業の1000分の5.5でした。
講師から最高と最低の業種と保険率は、暗記するようにアドバイスされたのを思
い出しました。
受験生の方々、特に労働保険徴収法の勉強のときは、今回の改正も絡めて
しっかり勉強なさってくださいね。
要チェックですよ。