暗いニュースが多いですね。
5月29日の総務省の発表では、4月の完全失業率が
5年5か月ぶりに5%となりました。
自営業を考えず、会社員として職業人生活を全うする方の場合、
失業期間については、老齢の年金の受給年齢に達したときに、
それだけ、老齢厚生年金の額が少なくなるという
ことになります。
老後の生活資金の計画を、老齢の年金を中心に組み立てている場合
(ほとんどの方がそうですよね)大きな問題です。
今回は、その老齢厚生年金の支給の考え方の基本、
昨今話題の「厚生年金のモデル世帯」のお話です。
先日、厚労省が発表した厚生年金の給付水準を見てみると、
モデル世帯は、夫が40年会社員、妻が40年専業主婦というケースが
想定されています。
2009年、このケースでは給付水準が62.3%,40年後の2050年でも50パーセントを
確保していると予想しています。
このことから、厚労省は2004年の年金改正時の約束は維持されていると
言っていますが、2004年の年金改定当時の資料を読むとこう書いてありました。
妻40年専業主婦であった世帯は基準ケースとしてふさわしくないとの意見も
あります。
が、
就労する女性は増加しているが、継続して就労することが一般的な男性と
比べ、時期や期間がさまざまで、男性と同じように1つのモデルで代表させること
ができません。
専業主婦の占める割合は、20歳代後半で25%, 30歳代前半で44%,
後半で49%を占めています。
会社員であった夫の妻で、受給年齢に達しても厚生年金を受給していない
妻がいる割合は4〜5割。
だから、このケースをモデル世帯にしている。と書いてありました。
しかし、このようなモデルケースのご夫婦は私の周囲には1組も
いらっしゃいません。
今回の新聞記事を読むと、共働き世帯が2007年現在で1013万世帯、
専業主婦の世帯が851万世帯。
共働き世帯が、専業主婦のいる世帯を上回る数字が出ています。
こちらの数字の方が現実なのです。
50%を約束されているのは、このモデル世帯だけ。
しかも、このモデル世帯でも50%の維持というのは、
65歳で年金を受け始める時点での現役世代の賃金に対する比率です。
受け始めて以降の比率は下ります。
受給開始時、50%を維持できた、モデル世帯でも、85歳到達時には、
43%まで落ち込むと試算されていますが、
子育てもすんだ、家のローンも完済、高齢になれば、そう遊びまわることも
無いから、消費生活水準がおのずと下る、
だから
生活には大きな影響はないし、このような方法をとらなければ、
現役世代の保険料負担の上昇を招くとの考え方。
年金は長期間にわたる制度ですから、一つの目安の数字をあげて、
随時比較しなければならないのは理解出来ても、
公約を維持するために現実とかけ離れたモデルケースをあげて
毎回維持出来ると説明されても、
モデルケースに該当しない私は???と思います。
●西尾はこう思います。
戸籍上もご夫婦でも、互いの職業を尊重し、財布は別で、
場合に応じて助け合うという方々もおいでです。
また、戸籍にはとらわれずパートナーとして生活を共にしているという方々、
単身者、単身で子育てをしている世帯、さまざまなライフスタイルがあります。
いっそのこと、世帯合算で試算するのは辞めて、
個人単位で給付水準を考えてもいいのではないかと思った次第です。
所得代替率とは、
そのご夫婦、単身者の、若い頃と同じような働き方をしている
現役世代の手取り賃金と比較して、年金が何%に当たるかを示す率です。
モデルケースの代替率が高くても、
共稼ぎのご夫婦のほうが、実際に受け取る年金額は多いです。
2050年でも50%が維持できているという試算をされても、
40年の間に、社会情勢がとのように変わるか、
年金試算のもとになる数字も変わるでしょうし、
私達にはピンとこないのが実感です。
あくまで試みの案ですから、そろそろ代替率50%の公約のしばりから
解放されたほうが良いのではと思います。