今年は寒い冬でした。
そして、突如、まさかの暖かさ。
で、3月になだれ込みました。
3月は出会いと別れの季節です。
健康保険の被扶養者となる人、独立する人、様々です。
そこで、今回は、ちょっぴりマニアックな健康保険の被扶養者のお話です。
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被扶養者となる人には、配偶者、両親、そして兄弟姉妹等など。
今回は、その「兄弟姉妹」のお話です。
殆どの法律では、「兄弟姉妹」の関係は平等の扱いをされます。
未支給の年金がある場合、
厚生年金、国民年金、労災保険、どの公的保険でも、順位は最下位ですが、
同じ権利を持つグループとして認められています。
●健康保険法はちょっと違う
健康保険法では、「兄姉」と「弟妹」で扱いが異なります。
健康保険法では、「被扶養者」の定義を以下のように定めています。
1.被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、及び弟妹であって、
主としてその被保険者により生計を維持する者。
2.被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外の者であって、
その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により
生計を維持する者。
他に、事実婚の配偶者等詳細がありますが、つまり同居・別居を問わず
被保険者の収入による生計維持関係があれば被扶養者となれるのは、
配偶者(事実婚含む)、直系尊属の父母、祖父母、弟妹です。
兄、姉は、生計維持関係だけでは被扶養者とは認められない三親等内の
親族とされ、同一世帯の要件も必要となります。
どうしてこのような取り扱いがされているのでしょうか?
日本の家長制度に根差す古い法律なのでは?と思っていましたら
違いました!
●弟妹が、同一世帯の要件を外された経緯
最初は兄弟姉妹とも、同一世帯の要件が必要だったのです。
平成11年1月の総務省行政監察局長から厚生省保険局長あての、
「遠隔地被保険者証」の交付に係る被扶養者の要件緩和(あっせん)の
総監第12号〜以下の文書です〜
施設入居をしている兄についての被扶養者認定について
都道府県により異なる取り扱いなされたことについて公平性を欠くもので
あるとして厚生省に検討を求める文書
この中で、
健康保険法では、従来、被扶養者となるには弟妹も兄姉と同様に
同居及び生計維持の要件が必要であったが、弟妹が勉学のために
別居することになれば、要件に該当しなくなり、被扶養者となれない
という不合理があったため、その改善が要望され、
昭和48年に法改正が行われ、弟妹の同一世帯要件が外された
という経緯があると述べ
この弟妹について同一世帯要件を外した昭和48年の法改正の趣旨に
かんがみ、
被扶養者の認定においては、実質的に扶養されているかどうか、
大雑把にいえば、本当に被保険者の給料に支えられて暮らしているのか
どうかが、もっとも重要な要素と考えられ、
兄姉についても、「同一世帯」要件を厳格に解釈して取扱うことは必ずしも
適切ではないものと考えられる
と、記載しています。
昭和48年までは、兄弟姉妹とも、被扶養者となるためには
同一世帯要件が必要だったわけですよね。
●こんな意見もあります
平成18年5月の「行政苦情救済推進会」では、
施設入居の兄姉を扶養している場合は、同居の有無を問わないような
特例措置を講じてほしいという事案検討の中で、
委員から以下のような発言がありました
・行政において、弟妹と兄姉を区別することにそもそも無理があったのでは
・弟妹と兄姉を区別したことには、弟妹は小さくて子供同然ということを想定
していたのだと思われる
・行政において、弟妹はいつまでも養うべき、兄姉は養う必要はないとしている
ことの説明はする必要があると思う
・弟妹はよくて、兄姉は駄目ということに合理的理由があるのか、
不合理な差別になっていないか、ということが重要
・兄姉は駄目と判断したからにはなんらかの理由があったはず
等々
●西尾はこう思います
今、「家族」は様々な変容をしています。
両親は離婚、兄弟姉妹、すべて独身、という「家族」もあります。
お互い独身で離れて暮らす、兄、姉、弟、妹、も多いです。
行政では、離れて暮らす「家族」がお互い支えあう場合も
想定するべきではないか、
と私は思うのです。
健康保険の財政上の理由だけで、この問題は片付けられないと
思います。
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今年3月からの健康保険・介護保険料率が各都道府県ごとに発表
になりました。
全ての都道府県でアップしています。
一番高いのは北海道で、一番安いのは長野県です。
率より具体的な額で比較しますと、
標準報酬月額が30万円の場合
、40歳未満で介護保険料の支払いが必要ない人で北海道では
本人負担額は、14130円に対し、長野県では13890円で月額240円の差、
介護保険料が必要な場合は、北海道では16380円、長野県では16140円。
私の住んでいる京都では、13995円、介護保険料を加算すると16245円
となります。
この新しい保険料率が適用されるのは3月からとなります。(4月末徴収分)