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働くあなたの公的年金&保険
知っ得情報 NO.9 2007.02.01.
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■■■■■■■■■■■■目次■■■■■■■■■■■■
★保険&年金基礎知識〜合法的な8時間超え労働〜
〜ホワイトカラーエグゼンプションを理解するために〜
★トピックス〜離婚分割についてのおさらい〜
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ホワイトカラーエグゼンプションですが、結局本通常国会に法案は
提出されませんでした。
参院選後に問題は先送りとなった形です。
しかし、経済界ではこの「問題先送り」に反発していますし、労働界でも
参院選後の動向を睨んで注目しています。
そこで、今回は「ホワイトカラーエグゼンプション」を考える上ではずせない
「合法的な8時間超え労働=変形労働時間制、みなし労働時間制」に
ついて書いておきたいと思います。
併せて、このメルマガでもリニューアル以前に取り上げた「離婚分割」について
4月からの導入前にもう一度おさらいをしておきましょう!
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★保険&年金基礎知識〜合法的な8時間超え労働〜
前回、労働時間の原則は1日の労働時間を8時間、週40時間という
お話をいたしましたが、その時間をあらかじめ規則を作って合法的にクリアするのが
変形労働時間制とみなし労働時間制という二つのルールです。
●変形労働時間制とは?
変形労働時間制とは、1日8時間、週40時間という原則の労働時間を、
規則で定めた一定内の期間に限って、原則の労働時間の総時間数の範囲
内で、1日8時間を超え、又は週40時間を超えて労働させることができる
というもので、以下の四つの形態があります。
・1ヶ月単位の変形労働時間制
上記の規則で定める期間が1ヶ月以内のものです。
・フレックスタイム制
1ヶ月以内の一定期間の総労働時間数の範囲内で、労働者が任意で
出勤・退勤時間を決め、日によっては8時間、週40時間を超えて働く
ことも可能という制度です。
・1年単位の変形労働時間制
この制度の導入には、労使協定の締結が必要です。1年以内の対象期間
を定めて、その期間内の特定の週及び特定の日に法定時間を超えて労働さ
せることができるというものです。
1年単位の変形労働時間制は、例えばメーカー、ホテル・旅館等で1年の
繁閑がパターン化されている業種が多く取り入れています。
・1週間単位の変形労働時間制
この場合は、繁閑がパターン化できない30人以下の飲食・小売・旅館業等
にのみ適用され、1週間週40時間の範囲内で特定の日に10時間まで労働
させることが可能です。
●みなし労働時間制とは?
みなし労働時間制とは、使用者の具体的な指揮監督が、一定の理由により
及ばず、労働時間を算定することが難しい場合に、一定の時間労働したもの
と「みなす」という制度です。
この制度には以下の種類があります。
・事業場外労働に関するみなし労働時間制
営業社員、セールス担当者等、通常の職場以外の場所での仕事がメインで、
労働時間を算定しがたい時は、原則通常の所定労働時間働いたものと
みなす、という制度です。
・裁量労働に関するみなし労働時間制
この制度には、専門業務型裁量労働制(スペシャリスト)、企画業務型裁量
労働制(ホワイトカラーの場合)とあり、どちらも業務の性質上仕事の進め方等
を適用労働者の裁量にゆだねなければならす、その結果労働時間の算定が
困難な場合に限られます。
また、専門業務型に関しては業種が限定されていますし、企画業務型裁量労
働制の適用に関しては、労使委員会の決議が必要等、一定の厳しい要件が
あります。
●ここで、ホワイトカラーエグゼンプションを考えてみよう!
変形労働時間制と、みなし労働時間制についてざっとお話しましたが、おわかり
いただけましたか?
日本で一番多く採用されているのは1年単位の変形労働時間制で、フレックス
タイム制は日本型の職場にマッチしないのか導入されているところは少ないです
ね。
また、みなし労働時間制は、事業場外のみなし労働時間制を導入されている
ところは比較的多いですが、裁量労働制は制約が多く、導入をためらう事業所
さんが多いようです。
特に、企画業務型裁量労働制ですが、残業時間が多い企画業務の労働者
への導入を検討したが、労使委員会の決議、一定事項を定期的に労働基準
監督署に報告しなければならない等、手続きが煩雑なため断念、というケース
もあるようです。
ここで、例のホワイトカラーエグゼンプションのターゲットを考えてみましょう!
厚労省の素案によれば、
・労働時間では評価できない業務に限定
・年収が相当程度高い(900万円以上?)
・権限と責任を相当程度伴う地位(管理職目前の労働者)
・仕事・時間配分に関して自己裁量権を持つ
等々ですが
浮かんでくるイメージは、外資でバリバリ働く人では?
そして、上の労働形態で言えば、企画業務型裁量労働制があてはまりそう。
でも、導入がなにかと面倒なら、ホワイトカラーエグゼンプション制度があれば
使用者側は楽そう。外資は喜びそう...。
それもそのはず、元はといえば、小泉内閣時代の日米投資イニシアチブ報告書に
おいてアメリカ政府が日本政府に要請した内容から、出てきたのがこの素案です。
要は、アメリカが日本国内の自国企業で働く社員の残業代を抑えたいから出てき
たアイデアなのか?と勘繰りたくもなりますよね?
ホワイトカラーエグゼンプションの導入には待ったがかかった形です。
しかし、今、労働の形と質、そのあり方について考え直す時期が来ているのも
事実だと思います。
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★トピックス〜「離婚分割」のおさらい〜
リニューアル前のメルマガで(2006年1/20,1/30日号)で、離婚分割について
ご説明しましたが、導入前のことでも有り、もう一度離婚分割についてご説明
しておきたいと思います。
●まず前提条件から
1)離婚分割制度は、老齢厚生年金や退職共済年金についての離婚時分割制
度のことですので、国民年金の老齢基礎年金はこの制度上では関係ありませ
ん。(分割される老齢厚生年金、退職共済年金はともに原則的な部分のみです。)
2)分割を受ける側も、受給資格の25年をクリアしていることが必要です。
●離婚分割は二つある!
離婚分割には、2007年4月から導入が予定されている「離婚分割」と
2008年4月からの「離婚分割」と二つ制度があります。
・2007年4月からの「離婚分割」
厚生年金の場合、婚姻期間中のそれぞれの厚生年金納付期間を合算し、
双方の合意又は裁判所の決定により最大で、その2分の1を分割することが
基本です。
その場合、この年金は受給開始年齢に達すると自分の年金に加算されて
支給されることになります。
ですので、この場合、納付額の多い方から納付額の低い方のほうへ給付される
ということになります。
ご夫婦が二人とも厚生年金保険料を支払っていた場合、多く保険料を支払っ
ていた方のほうの年金が分割されることになります。
必ず、夫から妻へと限ったことではないので、要注意!です。
離婚分割制度がなかった今までは、離婚の際に年金の分割を協議で合意して
いた場合でも、分割する側が死亡の場合は分割はされませんでしたが、今度の
制度改革で、離婚分割に合意していれば、本人死亡後も分割されることになり
ました。
・2008年4月からの「離婚分割」
この離婚分割は、非常に限定的です。
分割する側→国民年金の第2号被保険者(つまり被用者ですね)
分割される側→2008年4月以降の国民年金の第3号被保険者
(被扶養配偶者)期間に限る
と、いうことになっています。
2007年型との最大の相違点は、離婚が成立すれば、分割側の意志に関係
なく、2008年4月以降の婚姻期間の年金額の2分の1が分割されます。
合意は必要ありません。
この場合も、必ず夫から妻へと限ったことではなく、妻が厚生年金保険料を
支払い、夫が第3号被保険者(つまり被扶養配偶者)であれば、年金は
分割されるということになります。
●西尾からのアドバイス
社会保険庁には、この離婚分割に関する問合せが殺到しているそうです。
そして、マスメディアも2007年の離婚分割を睨んで、離婚件数が現在のところ
減少傾向にあると伝えています。
でも、離婚の減少は離婚分割を睨んでのことだけではなく、二人で力を合わせ
ないと生き抜いていけない日本の経済環境も影響しているのではないかと思い
ます。
老齢の基礎年金が満額でも月額にすると約7万円弱
平均的なサラリーマンの老齢厚生年金の額が多くて月額約18万円
この年金を離婚で分割したら、年金だけでは生活できません。
また、分割される側も老齢の年金と分割された年金では生活は難しいでしょ
う。
「離婚分割」の制度がスタートするから、離婚しても生活できるというわけでは
なさそうです。
「離婚分割」は、離婚の際の財産分与等の話し合いの中の一部分と捉えたほう
がいいと思います。