台風一過、抜けるような青空、とならないのが
今年の気象の不思議な点ですね。
でも、先日の集中豪雨で大きな被害を受けた奄美大島など
台風による影響が心配されていましたが、
あまり影響はなかったご様子、なによりです。
ところで、今回は、
先日の年金の歴史に続いて、
「消えた年金(?)」のお話です。
==========================================================
「消えた年金」問題では、様々な申立てのケースがあります。
申立てをされた方の問題ではなく、法の狭間で、
困っておられる方も多いのです。
今回は、そのようなお話をさせていただきます。
●厚生年金保険法の改正
昭和29年に厚生年金保険法が、大幅に改定されました。
まず、55歳だった受給開始年齢が60歳に引き上げされたこと(男子)、
女子は据え置きとされました。
●61年改定
昭和61年の厚生年金保険法の改定で、
女子の受給開始年齢も60歳に引き上げられました。
年金制度の変遷を勉強するうえで、
昭和61年の改定を境に、
それまでを旧法、そして新法と区別するようになりました。
それまで通称「カラ期間」と呼ばれていた期間が「合算対象期間」となり、
第四種被保険者という種別は廃止されることになりました。
●第四種被保険者とは
現在、厚生年金保険の被保険者は、会社で働いている現役の方を
対象としていますが、
第4種被保険者とは、退職後も厚生年金保険に任意加入して、
旧法の年金を受けることが出来る資格の20年の期間を作り上げるための
制度でした。
旧法の厚生年金加入期間が10年以上ある人が退職後6箇月以内に、
社会保険庁長官に申出ることにより20年(中高齢特例の場合は15〜19年)
に達するまで、退職直前の標準報酬の保険料を全額自分で、
その月の10日までに納付することになります。
このあたりは、現在の健康保険の任意継続の納付と同じですね。
勿論、年金を受ける権利の発生のために必要であったこともありますが、
20年加入していれば、加算条件に該当する配偶者やお子様がいらっしゃれば、
加給年金が加算され年金をうけることが出来るというメリットがあります。
昭和61年の改定では、この第4種被保険者は経過措置として残されましたが、
現在は新たな該当者はありません。
●メリットがデメリットに
しかし、このメリットが逆効果を生んでしまった事例もあります。
第四種を申出て、20年の厚生年金加入期間を満たしたのですが、
老齢年金を受給する場合、厚生年金加入が20年以上ある場合は、
加給年金が加算される場合があるのですが、加算対象となる配偶者自身も
厚生年金加入期間が20年以上あると加算が停止されてしまいます。
実際に、旧法時代に、旧社会保険事務所で、厚生年金の20年を
満たしていないからと、第四種への加入を勧められた方があります。
そして、加入し、20年を満たすため、自身で保険料を支払われました。
しかし、この方は、20年を満たしているため、加給年金の配偶者加算が
停止となってしまいました。
この方は、この停止条件を説明してもらえなかったと話してらっしゃいました。
●西尾はこう思います
年金は、損得でとらえるものではないとは思いますが、
加給年金は年額最大40万円弱あり、お嘆きもわかる気もします。
少し違うかもしれませんがこれも「消えた年金」となるのかなと思いました。
年金の制度設計をするうえで、過去のほころび、というか
制度のひずみを、掬いあげる必要性があるのではないでしょうか?
年金は、年金生活者の生きる礎です。
机の上で、頭の中で、組み立てるだけでは、信頼される年金制度の
確立は難しいと思います。
今までは、雇用保険の被保険者期間は、
最大2年までしかさかのぼることができませんでした。
しかし、10月1日から、雇用保険料を給与から天引きされていた場合は、
2年の時効を超えて遡ることが可能になりました。
給与明細や源泉徴収票等保険料の天引きがわかる書類を添付して
ハローワークに申出が必要になります。
対象となる方は、在職中の方、平成22年10月1日以降に離職された方
となります。
過去に雇用保険の各種給付を受給された方の対象期間は該当しない
とのことです。
会社が雇用保険加入手続きをしたかどうか確認したい場合は、
本来は、被保険者証をもらうのが一番ですが、細長く小さい書類で,
紛失の恐れがありますので、同時に発行される加入確認書被保険者分を、
会社にもらいたいと申し出されることをお勧めします。
==========================================================